
ユーザー車検で自分が受けるのは検査だけで、点検と整備は別に済ませる必要があります。この点検と整備は、整備工場にそこだけ頼めます。時期は検査の前でも後でもかまいません。ブレーキなどを分解する整備を仕事として受けられるのは、国の認証を受けた工場です。
検査と点検整備は別のもの
車検(検査)は、その時点で車が安全と環境の基準に合っているかを、国が一定の期間ごとに確かめるものです。点検と整備は、車を使う人が自分の責任で行い、次の検査までのあいだ車を良い状態に保つためのものです。自動車技術総合機構は、この2つは直接つながるものではないと説明しています。検査に通っても、その先2年間の安全が約束されるわけではありません。
道路運送車両法は、使用者に点検と整備の義務を課しています(第47条)。自家用の乗用車と軽自動車は、1年ごとに定期点検をする定めです(第48条)。車検の年に当たる点検が、いわゆる24か月点検(2年点検)です。ユーザー車検を選んでも、この義務はなくなりません。自動車技術総合機構も軽自動車検査協会も、検査だけを受ける人は、点検と整備を検査の前か後に自分の責任で行うよう案内しています。
前整備と後整備
| 呼び方 | 順番 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 前整備 | 点検と整備を済ませてから検査を受ける | 不合格になる心配を減らしたい。記録簿を当日に見せたい |
| 後整備 | 検査に合格してから点検と整備をする | 先に検査の日が決まっている。合格後に時間を取って点検したい |
前整備と後整備は、点検と整備を検査の前にするか後にするかの違いです。自動車技術総合機構は、定期点検整備の時期は検査の前後を問わないと案内しています。後整備を選んだ場合も、点検をしなくてよくなるわけではなく、合格したあとで受けることになります。点検の結果を書く点検整備記録簿の扱いはユーザー車検と点検整備記録簿で説明しています。受付での申し出方や、記録簿を自分で書く場合の注意はユーザー車検と点検整備記録簿の解説がくわしいので、合わせて読んでください。
認証工場と指定工場の違い
| 項目 | 認証工場 | 指定工場(民間車検場) |
|---|---|---|
| 国から受けているもの | 地方運輸局長の認証 | 認証に加えて、地方運輸局長の指定 |
| できること | エンジンやブレーキなどを分解する整備を、仕事として受けられる | 左に加えて、工場の中で検査までできる |
| 検査 | 工場ではできない。車を検査場へ持ち込む | 自動車検査員が検査し、保安基準適合証を出す。車を検査場へ持ち込まなくてよい |
| 看板の色 | 若草色か橙黄色の地に黒い文字 | 青い地に白い文字 |
認証工場は、エンジンやブレーキなどの大事な部分を取り外して行う整備(特定整備)を事業として行うために、地方運輸局長の認証を受けた工場です(道路運送車両法第78条)。指定工場は、認証工場のうち、検査の設備を持ち、自動車検査員を置いていると認められて指定を受けた工場を指します(同法第94条の2)。指定工場で点検と整備を受け、保安基準適合証を出してもらえば、検査場に車を持ち込まずに車検を更新できます。
ユーザー車検で点検と整備だけを頼むなら、認証工場でも指定工場でも頼めます。工場の入口には、認証や指定を受けていることを示す看板を掲げる決まりがあるので、色を見れば見分けがつきます。自分の車を自分で整備することは禁じられていませんが、ブレーキなどを分解する整備をしたときは、その内容を点検整備記録簿に書く定めがあります(同法第49条)。
整備工場への頼み方3通り
- 点検と整備を頼み、検査は自分で受ける24か月点検と、点検で見つかった整備を工場に頼みます。車が戻ったら、予約した日に自分で検査場へ持ち込みます。記録簿は工場が作ってくれます。
- 先に検査を受け、不合格の箇所だけ直してもらう検査で基準に合わなかった箇所を工場で直し、再検査を受けます。当日に直せないときは、有効15日の限定自動車検査証を受けてから工場に入れます。
- 合格したあとで点検を頼む後整備の進め方です。合格した日から間を空けずに予約を入れておくと、点検を忘れずに済みます。
2つ目の進め方では、直す先が指定工場なら、限定自動車検査証と車を工場に見せて整備と検査を受け、限定保安基準適合証を出してもらえます。この場合は、車をもう一度検査場に持ち込む必要がありません。回数と期限は不合格だったときにまとめました。点検から検査まですべて任せたい場合は、ユーザー車検にこだわらず、指定工場に車検として頼む方法もあります。
頼むときに伝えること
- 車検証の満了日と、検査を予約した日(まだなら受けたい時期)
- 検査は自分で持ち込むこと。頼みたいのは点検と整備であること
- 24か月点検か、12か月点検か、決まった箇所の修理か
- 点検整備記録簿を作って渡してほしいこと
- 作業の前に見積もりを出してほしいこと。追加の整備が出たら先に連絡がほしいこと
- 再検査の場合は、不合格だった項目と限定自動車検査証の期限
点検と整備の代金は、車の傷み具合や直す箇所の数、頼む工場によって変わります。自動車技術総合機構も、費用は車の状態と工場によって変わると説明するにとどめていて、公的な目安の額はありません。このため、このページに相場は載せていません。頼む前に見積もりを取り、作業の内容と金額を紙かメールで受け取っておくと、あとで食い違いが起きません。当日に自分で払う法定費用はユーザー車検の費用で確かめられます。
CarDex(カーデックス)は、都道府県と市区町村から整備工場を探せる索引です。culebeeは、いまいる場所の近くの店を探せます。電話をかけるときは、上の「頼むときに伝えること」を手元に置いて話すと伝え漏れがありません。
自分でできる点検、頼んだほうがよい点検
日常点検は、運転席に座る、エンジンルームをのぞく、車のまわりを一周する、といった動きで確かめられる点検です。ライトがつくか、タイヤの空気や溝は足りているか、ブレーキ液や冷却水の量は減っていないかは、道具がなくても見られます。検査の前に自分で見ておくと、電球切れのような不合格を減らせます。
定期点検には、ブレーキの中の部品の減り具合や足まわりのがたのように、車を持ち上げたり部品を外したりしないと見られない項目が入っています。軽自動車検査協会は、点検整備の役割を、検査では確かめられない内部の部品の摩耗や不具合を見つけて直すことだと説明しています。工具や場所がない項目は、工場に頼むのが安全です。12か月点検の項目と記録簿の欄は12か月点検の記録簿の書き方で確かめられます。
よくある質問
- 点検だけを整備工場に頼んでも失礼になりませんか
- 気にする必要はありません。自動車技術総合機構も、自分でできない項目は最寄りの整備工場に依頼するよう案内しています。検査は自分で受けることを最初に伝えてください。
- 点検は検査の前と後のどちらがよいですか
- 決まりの上ではどちらでもかまいません。先に点検と整備を済ませておけば、検査で基準に合わない箇所が見つかる心配を減らせます。後にする場合は、合格後の予約を先に入れておくと忘れません。
- 認証工場と指定工場はどう見分けますか
- 入口の看板で見分けられます。認証工場は若草色か橙黄色の地に黒い文字、指定工場は青い地に白い文字です。
- 点検整備記録簿は工場が書いてくれますか
- 整備工場に点検と整備を頼んだ場合は、その工場で作ってもらえます。受け取ったら車検証と一緒に車に置いておき、検査の日に持っていきます。
- 整備の料金の目安はありますか
- 公的な目安の額は示されていません。車の状態と工場で変わるため、作業の前に見積もりを取って確かめてください。
出典
- 自動車技術総合機構「継続検査の方法」(ユーザー車検、認証整備工場、指定整備工場)
- 自動車技術総合機構「点検整備」(検査と整備の違い、日常点検、定期点検)
- 自動車技術総合機構「継続検査の流れ」
- 自動車技術総合機構「費用目安」
- 自動車技術総合機構「再入場(不適合の場合)」
- 軽自動車検査協会「車検の基礎知識」
- 道路運送車両法 第47条、第48条、第49条、第78条、第89条、第94条の2、第94条の5(e-Gov法令検索)
- 道路運送車両法施行規則 第62条、第20号様式(認証工場の標識)(e-Gov法令検索)
- 指定自動車整備事業規則 第15条、第5号様式(指定工場の標識)(e-Gov法令検索)
- 24か月点検で見る項目と記録簿の記入例点検整備記録簿の解説サイト
- 自分で払う重量税、自賠責、印紙代を計算する車検の法定費用計算ツール