
ユーザー車検は、点検整備記録簿が無くても受けられます。定期点検の時期は検査の前でも後でもよいと国が案内しているためです。ただし点検そのものは使用者の義務。記録簿を出さずに受けると、車検証に「点検整備記録簿記載なし」と記録され、ステッカーの裏に「法定点検未実施(車検時)」と書かれます。
ユーザー車検に点検整備記録簿は必要か
点検整備記録簿は、国土交通省が示す継続検査の必要書類に入っています。入ってはいますが、出さないと検査を受けられない書類とは扱いが違います。国土交通省と自動車技術総合機構は、定期点検整備の時期は検査の前後を問わないと案内しており、検査を先に受けて点検を後からする受け方が認められています。国はこれを「前検査(後整備)」と呼びます。検査の前に点検を済ませた人は記録簿を窓口に出し、後からする人は出さずに受ける。違いはそれだけです。どちらを選んでも、点検をする義務は消えません。
| 受け方 | 点検の時期 | 当日の記録簿 | 車検証への記録 |
|---|---|---|---|
| 点検してから検査 | 検査の前 | 窓口に出す | 点検整備記録簿記載あり |
| 前検査(後整備) | 検査の後 | 出さない | 点検整備記録簿記載なし |
書類の全体は必要書類チェックリストで確かめられます。記録簿の位置づけを条文までさかのぼって知りたい人は、ユーザー車検に点検整備記録簿は必要かの解説が参考になります。
記録簿を出さずに受けたときに起きること
記録簿を出さずに検査を受けると、3つのことが起きます。車検証への記録、ステッカーへの記載、国からのはがきです。国土交通省は、車検のときに記録簿で点検の実施を確かめており、確認できなかった車には次の扱いをしています。
- 車検証の備考欄に「点検整備記録簿記載なし」と記録される(普通車は2014年2月から、軽自動車は2015年1月から。電子車検証ではICタグに記録)
- 検査標章(ステッカー)の裏面の余白に「法定点検未実施(車検時)」と記載される(2020年4月1日から。二輪車などを除く)
- 点検をする必要があることを知らせ、検査後の実施を確かめるアンケートのはがきが届く
車検証とステッカーの記載は、あとで点検を済ませても訂正されません。国土交通省が「記載内容の後日訂正は対応しかねます」と明記しています。車を売るときに車検証を見られることを考えると、点検を先に済ませて記録簿を出すほうが跡が残りません。
点検はいつするか
自家用の乗用車と軽自動車の定期点検は、1年ごとと2年ごとの2種類です。国土交通省によると、1年ごとの点検は29項目、2年ごとの点検は1年ごとの29項目を含む60項目。車検の時期に当たるのは2年ごとの点検で、一般に24か月点検と呼ばれます。根拠は道路運送車両法第48条です。
おすすめは検査の前です。理由は2つあります。1つは、前の章で書いた記録が車検証に残らないこと。もう1つは、検査で落ちる所を先に見つけて直せることです。自動車技術総合機構も、予約の確認メールを受け取ったら受検の日までに点検し、保安基準に合う状態に整備するよう案内しています。検査は、その時点で基準に合っているかを見るだけのもの。次の車検まで安全に走れることを確かめる役目は、点検のほうにあります。
検査の後に点検する人は、日を決めてから検査を受けてください。後回しにして忘れると、義務を果たしていない状態が続きます。
記録簿は自分で書けるか
書けます。点検整備記録簿を車に備え、点検や整備をしたら遅れずに記入するのは、自動車の使用者の務めだと道路運送車両法第49条が定めています。整備工場に点検を頼んだ場合は、その工場が作ってくれます。自分で点検した項目は自分で書き、自分でできない項目は整備工場に頼む。国土交通省もこの分け方を案内しています。
書く内容は法律で決まっています。
- 点検の年月日
- 点検の結果
- 整備の概要
- 整備を完了した年月日
- 登録番号(軽自動車は車両番号)
- 点検した時の総走行距離
- 点検や整備をした人の氏名と住所(使用者本人がした場合は氏名だけでよい)
乗用車と軽自動車が使う様式は、自動車点検基準の別表第六に沿ったものです。点検していない項目に、点検したしるしを付けてはいけません。記号の書き分けと記入例は24か月点検の整備記録簿の書き方にあります。バイクは別表第七で、バイクのユーザー車検のページから案内しています。
記録簿の保存と持ち歩き方
乗用車と軽自動車の点検整備記録簿は、書いた日から2年間保存します。保存の方法は、車に備えておくこと。車検証と同じ入れ物に入れておけば足ります。国土交通省は、できるだけ長く取っておき、車の「生涯記録簿」として使うことをすすめています。
紙のほかに、電子での保存も認められています。紙をスキャナで読み取ったものをスマートフォンに入れて持ち歩く方法でもかまいません。条件は、求められたらすぐにはっきり表示でき、紙にも出せること。何枚かに分かれた記録をひとつにまとめたいときは、PDFの結合と圧縮ができる無料ツールが使えます。ただし、検査場の窓口で見せるときは紙です。運輸支局や軽自動車検査協会で検査を受けるときは書面で提示する決まりなので、車検の日は紙を持って行ってください。
点検だけを整備工場に頼む方法
ブレーキを分解して見る項目など、道具と知識が要る点検は少なくありません。そこだけ店に任せ、検査場への持ち込みは自分でやる人もいます。店に頼めば記録簿は店が作るので、当日はそれを窓口に出すだけです。頼み方は点検と整備だけ整備工場に頼むにまとめました。
よくある質問
- 点検整備記録簿が無いと、ユーザー車検は不合格になりますか?
- なりません。検査の合否は、車が保安基準に合っているかどうかで決まります。記録簿を出さない場合は、車検証に「点検整備記録簿記載なし」と記録されます。
- 検査の後に点検をすれば、車検証の記録は直してもらえますか?
- 直してもらえません。国土交通省は、記載内容の後日の訂正には対応しないとしています。記録を残したくない人は、検査の前に点検を済ませて記録簿を出してください。
- 自分で点検した場合、記録簿に住所は書きますか?
- 書かなくてかまいません。点検や整備をした人が使用者本人の場合は、氏名だけでよいと自動車点検基準第4条にあります。
- スマートフォンに保存した記録簿を窓口で見せてもよいですか?
- 窓口では使えません。ふだんの保存は電子でも認められていますが、運輸支局や軽自動車検査協会で検査を受けるときに見せる記録簿は紙と決められています。
- 12か月点検もしないといけませんか?
- 義務です。自家用の乗用車と軽自動車は、1年ごとに29項目の点検をすることになっています。車検の無い年も忘れずに受けてください。
出典
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「ユーザ自身が検査手続を行う方法」
- 国土交通省「車検時の点検整備実施状況のお知らせ」
- 国土交通省「点検整備の種類」
- 国土交通省「点検整備記録簿、特定整備記録簿及び指定整備記録簿の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い」
- 自動車技術総合機構「継続検査の流れ」
- 軽自動車検査協会「継続検査(車検)」
- 道路運送車両法 第48条、第49条(e-Gov法令検索)
- 自動車点検基準 第2条、第4条(e-Gov法令検索)
- 点検整備記録簿の用紙はどこで手に入るか。買う方法と印刷する方法整備記録簿ガイド